シン・ゴジラ


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遅ればせながら、「シン・ゴジラ」を観てきた。
田舎の映画館だと、ようやくの上映なのだが。

期待したどおり、庵野秀明監督のゴジラが楽しめた。
ただし・・・
ただし、もうちょっと何かが欲しかったのも確かだ。



正直に言って「シン・ゴジラ」は、「東日本大震災」+「エヴァンゲリオン」以外の何物でもなかった。
事前情報をできるだけ入れないようにして、先入観を排除して見に行ったのだが、それ以外の味付けは観られなかった。
日本政府の危機管理は新しいゴジラ映画の視点とも言えるのだが、「東日本大震災」いや、「福島第一原子力発電所の事故」に対する政府の対応をそのまま見せられるようで、当時のモヤモヤ感がそのままトレースされただけに見えてしまった。

官僚のものすごい速さで喋り続ける会話の情報量とそれに基づく展開は、凡人には分からないエリート官僚の常識なんだそうだが、ちと物語的にも我田引水過ぎるきらいが見受けられる。
特命機関が設置され、あらゆるジャンル、機関の垣根を越えて鼻つまみ者(オタク)達が集結して問題解決に当たって行くと、どうも「セカイ系」の臭いがプンプンし始める。(歳のせいなのか?)
そこが万能になっていくストーリーは、確かに盛り上がりを演出するにはもってこいの展開なのだが、本当にそれしかなかったのか?



別にお涙ちょうだいの「人間ドラマ」を見せて欲しかったと言っている訳ではない。
あの「3.11」の報道TVを、庵野秀明監督はしたり顔して観ていたのだろうな、という想像がついてしまうところが、映画館でちらつくのが気になって仕方ないのだ。
制作者なんて、そんなもんだよ。「こいつは使える」といつもアンテナを張っている。それはわかる。
自分の中にもある、そうした野次馬根性がどうも気になるのだ。
それが分からないように、「上手く」処理できていたなら、もっと楽しめたであろう。

地図で徹底図解! ゴジラは上陸後、こう進んだ 検証「シン・ゴジラ」、二度の上陸から東京駅まで:日経ビジネス





実は私も(比較するには低いが)ゴジラフリークで、1989年、当時所属していた地元消防団の慰労会で『ゴジラ対策検討会』のビデオ勉強会を開催したことがあった。
当時はまだ平成ゴジラシリーズも公開される前で、パソコンなどのプレゼンテーションソフトもなかったので、レンタルビデオ店からありったけのゴジラ映画を借りてきて、消防団や自衛隊の登場シーンをつなぎ合わせては、我が町にゴジラがやって来る場合の想定ルートやその被害状況を検証し、緊急車両や特殊車両の誘導、本部の設置場所、消防団の詰所が被災した場合の2次的集合場所等についてビデオを参考に検証を行った。

あくまで「お楽しみ」としての勉強会だったが、この「お遊び」を日本政府に置き換えると、今回の「シン・ゴジラ」になると思うのだ。しかも、東日本大震災のバックボーンがあったからこそ、別の意味にも見えてしまうと思う。
当時の菅総理が「じゃぁ、俺が」と身を乗り出す姿勢が、今回の「シン・ゴジラ」とオーバーラップしてしまって、笑えないのだ。
日本を破壊したのは、ゴジラではなく、「無能な総理」だったというストーリーなのかと・・・

この「シン・ゴジラ」を、2011年に亡くなった小松左京に観てもらい感想を聞きたかった。
小松左京の「日本沈没」も、大地震の物語ではなく、「日本という国土」が消失した場合の政府の物語に重点が置かれていた。
ゴジラという災害が「被爆という国土の消失」をもたらしたとすれば、その後の政府の物語はきっと「日本沈没」のそれと重なる。
SF作品として「シン・ゴジラ」を捉えようとすると、ずっと物足りないと小松左京も思ったことだろう。

そうした素地を持ち合わせているストーリーなのに、そこを描かないのはもったいないと思うのだ。
確かに、「実写版・エヴァンゲリオン」だと思って観れば面白いことは十分承知している。特撮の見事さも堪能した。

しかしだ、そこに留まるほど庵野秀明監督の才能は低くはないと思っているのだ。

株式会社ガイナックスの前身DAICON FILMが作った「八岐之大蛇の逆襲」(特技監督:樋口真嗣 当時19歳)に庵野秀明(当時24歳)が出演していたが、あの時以上の感動を期待してしまうのだ。



今回の「シン・ゴジラ」の作戦名「ヤシオリ作戦」も八岐之大蛇伝説に登場する酒「「八塩折」に由来することからしても、庵野秀明監督は「八岐之大蛇の逆襲」にオマージュを寄せているのだということが理解できる。

「シン・ゴジラ」が、今までのゴジラ映画はなんだったのかと思わされるほどの傑作だとは理解している。
日本も、ハリウッドも含めて、こう来たか!と思わず膝を打つ「新・ゴジラ」であり「神・ゴジラ」なのだと。
しかし、このストーリーに、続編は作れないだろうとも思わせてしまうのがつらい。
庵野秀明監督は、その次をどう考えるのだろうか?



「シン・ゴジラ」をどう観るか

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